啐啄同時、を感じる時がある。
結構好きな四字熟語かもしれない。
そういうときは、感動や嬉しさを覚えるものだ。
私が感じているのは師と弟という関係に拘らないので、元来の意味とは微妙にずれているのかもしれないのだが、その辺は悪しからず。
それを感じて、中島らもという作家の、とあるエッセイを思い出した。
明確にそれについて書かれた文章ではなかったのだけど、らも氏は、
「そいつはいつも、まったく何の予兆もなくいきなりやってくる。そしてアッと思ったときはもう遅い。」
と書いていた。
感覚として似ている、と思った。
気付いた時には絶妙なタイミングでそうなっているのだ。
そして「それ以外のときは僕は一個の闇であり、一個の不在でしかない」らしい。
彼のこういう表現が好きだなと思う。
らも氏のエッセイは、こういう表現として素敵なものもあるのだが、とんでもなくくだらない話や、真剣なのか何なのかわからないQ&Aなどもある。
飲み会は嫌いじゃないのに、上司が飲みの場でセクハラをしてくるのが嫌、どうしたらいいでしょう。
みたいな質問に対して、
ゲロを吐くといいです。課長の膝に寝転がって甘えるふりをしてブチまけましょう。
のような回答をしていたりする。
ふふふ、それは名案だ、私ももしそうなったらそうしてやろうと思った。
なるほど、そういう表現ができるのか、そんなアイデアがあったのか、と驚きを感じるので、彼の本は結構好きだ。
私は大概、そういう本とか漫画とか音楽とかが好きな傾向にある。
人間も同じだろう。自分と違う表現をしていて、でも「なるほど、それは良い。その手があったか」と感じることができるような人と居たいなと思う。